被毛と皮膚のチェック
皮膚はさまざまな病気のサインが隠れていることが多いです。このページでは典型的な例をご紹介します。
    正常な皮膚
1)人と犬の皮膚の違い
表皮
皮膚は外界と生体の間で物理的および生理的なバリアとして機能しています。
皮膚は2層からなり、外側を表皮、内側を真皮と呼びます。
表皮はさらに厚さの異なる5つの層で構成されていています。
その一番上の層を角質層といいます。
人の角質層は10~15細胞層からなるのに対し、犬は3~5の細胞層からなります。
⇒  犬は人と比べて表皮が薄い事により、傷つきやすく、ブロック機能も弱い。そのため皮膚病にもなりやすい。
皮膚pH
酸性アルカリ性を示すpHが人の皮膚pHは5.5の弱酸性になるのに対し、、犬は皮膚pHは7.5でほぼ中性になります。
⇒  人用のシャンプーを使って犬を洗うと体質が合わず皮膚炎を起こしてしまう可能性があります。必ず犬用のシャンプーを使用してください。
ターンオーバー
皮膚は常に新しい皮膚に生まれ変わっています。
表皮の最下層で新しい皮膚細胞が出来てから押し上げられるように表面まで達し最後は古くなり剥がれ落ちていく、その過程をターンオーバーといいます。
人のターンオーバーは約28日に対し、犬は約21日になります。
⇒  このターンオーバーの周期を考慮して皮膚アレルギーの子に対して行う食事療法は1~2か月継続する必要があります。
2)脱水があるかの簡易チェック
皮膚をつまむことで脱水しているかどうかのある程度の判断をすることができます。
健康な子であればすぐにのばされた皮膚は元に戻りますが、この戻り方がゆっくりな場合は脱水している可能性があります。
ある程度お年をとってきている子だと若い頃と比べると元に戻るまでの時間は多少かかるようになってきますが、通常は1秒ぐらいで元の状態に戻るはずです。
一度元気な時にでもご自宅のワンちゃんネコちゃんで試してみてください。
3)被毛や皮膚の典型的な異常所見
背中のフケです。
コンディションの低下や、ホルモンバランスの崩れなどで起こることもあります。
猫の皮膚炎と脱毛です。
これは猫ちゃんが自分で舐めすぎて悪化してしまった例です。
指間皮膚炎です。
これは指の間を舐め壊し炎症を起こしてしまった例です。
犬の脱毛です。
実はこの皮膚にはニキビダニが潜んでいました。
これは点状出血(内出血)です。
血を止めるのに必要な血小板が減少してしまったりすると起こる免疫異常の病気などでみられる症状です。
このような内出血を起こした際はなるべく早く動物病院までご相談ください。
耳に出来た腫瘤です。
この腫瘤は組織球種と呼ばれる良性の腫瘍でした。
皮膚に出来た腫瘤です。
この腫瘤は肥満細胞腫と呼ばれる悪性腫瘍でした。
肥満細胞腫は発見が遅れると命に関わる全身的な症状に発展する事もあります。
ここに紹介している例は典型的なものですが、もし自宅で気になるようなものを発見した際はお気軽に当院までご相談ください。
院長のポイント解説
上記のような皮膚に関する異常は多く存在します。そのため日々愛犬愛猫のブラッシングなどをしながら全身を確認してもらい何か変化しているところがないか見てあげれば病気の早期発見早期治療につながります。コミュニケーションの一環としてぜひ毎日触ってあげてください。
⇒ 5)粘膜のチェック
<参考文献>
・Medical History and Physical Examination in Companion Animals
・うちの子の皮膚「どうなっているの!?」
<関連ブログ>
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