慢性腎臓病ステージ1を早期発見する方法について
1)尿検査、尿タンパク/クレアチニン比(UP/C)の測定
7歳以上の猫ちゃんは特に定期的な尿検査をおすすめします。
病院内での尿検査にて尿試験紙でのタンパクが陽性であれば、UP/Cの測定を行います。
UP/C値の目安は以下のようになっています。
UP/C | タンパク尿の評価 | 検査・治療のタイミング |
---|---|---|
0.2未満 | タンパク尿ではない | 半年~1年後の再検査 |
0.2~0.4 | タンパク尿の境界 | 2週間後~2か月後の再検査 |
0.4~2.0 | タンパク尿である | 2~4週間後の再検査 |
2.0以上 | タンパク尿である | 即座に治療開始 |
また、院内の尿検査にて尿比重が低い場合も注意が必要です。
(猫の慢性腎臓病ステージ1では尿比重が低下することはまれですが、尿比重が低下してきた際は慢性腎臓病の進行してきている可能性があります。)
2)血液検査
慢性腎臓病ステージ1では、高窒素血症は発見されることはありませんが、定期的に測定することでクレアチニン値の期間ごとの上昇に気づくことができます。
3)画像診断
慢性腎臓病ステージ1を見つけるという意味では、頻繁に行う必要はありませんが、7歳ぐらいを目安に一度健診を兼ねたX線検査と超音波検査をおすすめします。
一度しっかりした画像診断をしておくと、のちのちに慢性腎臓病を疑う時が来た時に、以前の画像との比較ができるため、早期発見の手助けになります。
もちろん、定期的な健康診断に来ていると、触診で腎臓の形状の変化に気づくこともあります。画像検査までは望まれないという方でもお気軽にご相談ください。
4)血圧測定
高血圧は慢性腎臓病を進行させる重要な要素です。
そのため、可能であれば定期的に血圧測定を行うことをおすすめします。
ただし病院に来るたびに興奮してしまう猫ちゃんに関しては血圧測定は困難になるので、定期的に血圧測定を行える猫ちゃんは限られてしまうのが実際です。
<参考文献>
「猫の慢性腎臓病について」小冊子 ノバルティスアニマルヘルス株式会社
CLINIC NOTE No.84 「猫の慢性腎臓病を早期診断するために」
犬と猫の治療ガイド2012「慢性腎臓病(CKD)」
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