慢性腎臓病のステージ分類
以下に示している慢性腎臓病のステージ分類は国際獣医腎臓病研究グループ(IRIS;International Renal Interest Society)から提唱されているものです。
IRISによる慢性腎臓病の病期分類
ステージ | 血漿クレアチニン(mg/dl) | ||
---|---|---|---|
猫 | 犬 | ||
1 | <1.6 | <1.4 | 非窒素血症 |
2 | 1.6~2.8 | 1.4~2.0 | 軽度窒素血症 |
3 | 2.9~5.0 | 2.1~5.0 | 中等度窒素血症 |
4 | >5.0 | >5.0 | 重度窒素血症 |
ステージ1
血漿クレアチニン濃度 猫:1.6mg/dl未満
残存している腎機能の割合:100~33%
高窒素血症(体の老廃物が血液中にたまってしまうこと)はない。
通常、臨床症状(見た目でわかる症状)は無い。
ステージ2
血漿クレアチニン濃度 猫:1.6mg/dl~2.8mg/dl
残存している腎機能の割合:33~25%
軽度の高窒素血症
臨床症状は認められないかあるいは軽度(多飲多尿の症状)
ステージ3
血漿クレアチニン濃度 猫:2.9mg/dl~5.0mg/dl
残存している腎機能の割合:25~10%
中程度~重度の高窒素血症
吐き気や食欲不振、貧血などの臨床症状がはっきりと現れてくる。
ステージ4
血漿クレアチニン濃度 猫:5.0mg/dl以上
残存している腎機能の割合:10%以下
重度の高窒素血症
腎臓以外の全身症状も出てくる。
尿毒症の症状も発現
実際、ほとんどの猫ちゃんがこのステージ2以上の段階で発見されています。
しかし、ステージ2まで来ると上記の通り残存している腎機能は33%以下になっているということになります。
したがってこの時点からどんなに治療をしたとしても残りの70%ほどの腎機能を元に戻すことはできないのでその残された30%程の腎機能を以下に悪化させないかを考えていくしかありません。
そのため理想としては、臨床症状のないステージ1の状態で慢性腎臓病が発見できれば、腎臓の機能を極端に落とすことなく保つことができ、結果として長生きにつながっていきます。
<参考文献>
「猫の慢性腎臓病について」小冊子 ノバルティスアニマルヘルス株式会社
CLINIC NOTE No.84 「猫の慢性腎臓病を早期診断するために」
犬と猫の治療ガイド2012「慢性腎臓病(CKD)」
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